
蠅を叩きつぶしたところで、
萩原朔太郎「猫町」のエピグラフ
蠅の「物そのもの」は死には
しない。単に蠅の現象をつぶ
したばかりだ。―
ショウペンハウエル。
ショウジョウバエ、だろうか。コバエの2つ3つがダイニングテーブルの上空を優雅に飛行している。
キンチョールを配備して一気に殲滅すればいいのだろうが、テーブルやゴミ箱の蓋の上に着陸したところを、絞った濡れ布巾をシャッと投げつけて、一匹ずつコツコツ仕留める。
今年の夏もこの戦法でずいぶん退治した。一度に大きめのやつ5匹を撃沈するという戦績も挙げた。これによって家庭内の階級が特進することはないが、コバエ軍には恐れられているかもしれない。
それにしても、10月になったというのに、次々にわいてくるのはどういうことか。ふと19世紀ドイツの哲学者の箴言が脳裏をかすめ、不意にその言葉の意味を知る。そういうことだったのか、アルトゥール!

コメント