英語舌

フィンランド
Helsinki 2003
ヘルシンキ、2003年

No man could more verify the truth of these two maxims, “That nature is very easily satisfied;” and, “That necessity is the mother of invention.”

Jonathan Swift, “Gulliver’s Travels” (Benjamin Motte, 1726)

こんなわけで、「自然の欲求は容易に充たすことができる」という格言と、「必要は発明の母である」という格言の両者がいかに真実であるかを、私ほど身をもって証明できる人聞は他にはいないと思う。

スウィフト『ガリヴァー旅行記』平井正穂 訳 岩波文庫

フィンランドの語学学校で。

英語のクラスに、数人の中国人留学生の女の子がいた。

その中でも小悪魔的で可愛らしい、二十歳ぐらいのお嬢さんと話していたときのこと。

「英語の発音がネイティブ並にできるよう、手術をして舌の左右を削ってしまいたい」というようなことを云った。

ぼくは、彼女の英語はとても上手だと感じていたので、ちょっと驚いた。

「舌の次は、のどちんこも」と云った。

たまげた、のどちんこもか。
想像するだけで口の中が痛い。

「お父さんとお母さんは何と言っているの?」と訊くと、

「父も母も賛成してくれている」と言い切った。

「必要は発明の母」というが、「母」というより「悪魔」のようだ。そもそも、そんな手術があるのだろうか。

それに、舌を英語向きにしてしまったら、彼女の母国語である中国語が、mother tongueではなくなてしまうではないか。
もったいないにも程がある。

その上、のどちんこまで。
他人事とはいえ、身を切られる思いがした。

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