ヘルシンキの天文台と宮沢賢治

フィンランド

ヘルシンキ大聖堂をUnioninkatuにそってまっすぐ南に行くと、在フィンランド日本大使館がある。3ヶ月以上滞在する場合には、在留届を提出しなければならない。2003年に初めてフィンランドに滞在したとき、届出を出すために大使館を訪れたことがある。

Unioninkatuをさらに南に歩くと、ヘルシンキ大学の天文観測所の正面にたどり着く。わきの公園を横切ってもう少し歩き、海につきだした小高い丘を登って行くと、小さな黄色い円筒形の建物が目に入ってくる。これがフィンランド最古の天文台だ。この一帯はKaivopuistoと呼ばれる公園になっている。

この天文観測所を創設したメンバーの一人のユルィヨ・バイサラは、エスペランティストでもあった。星を観測していると、より普遍的なものを求めるようななるのかもしれない。星の観察とエスペラント語といえば、宮沢賢治のことを思い出す。宮沢賢治は、土着なものを大切にする人でもあった。ローカルなものとユニヴァーサルなものが不思議に融合した存在、それが宮沢賢治の魅力でもあったりする。

星めぐりの歌
宮澤賢治

あかいめだまの さそり
ひろげた鷲の  つばさ
あをいめだまの 小いぬ、
ひかりのへびの とぐろ。

オリオンは高く うたひ
つゆとしもとを おとす、
アンドロメダの くもは
さかなのくちの かたち。

大ぐまのあしを きたに
五つのばした  ところ。
小熊のひたいの うへは
そらのめぐりの めあて。

青空文庫

賢治とフィンランドには接点がある。1920年、フィンランドの初代駐日公使として東京に赴任した、言語学者のグスターフ・ラムステッドはフィンランドのエスペラント協会会長でもあった。彼は日本語を流暢に話し、日本語による講演も何度か行っていた。宮沢賢治も彼の講演を東京で聴いている。宮沢賢治とフィンランドが出会っていたんだと思うと、なんだか嬉しい。

Unioninkatuの南端には天文台がある一方で、北の突き当りにはKallioの教会がある。神に祈りを捧げる場所と星を観察する場所のほぼ中間には、お互いをつなぐように長い橋が掛かっている。

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